2024/12/18 大宮図書館より借入
2024/12/22 読書開始
2024/12/24 読了
2024/12/27 大宮図書館へ返却
現役の時は、仕事柄多くの社長さんや偉い人たちに会ってきたが、徳のある人というのにはお目にかからなかった。悪い奴、ずるい奴、カネに汚い、女に溺れる等々のオンパレードで。だって、歴代の総理大臣を思い出してほしい。徳のある人、善人、仏のような人など一人もいなかったでしょ。
だから権力の上にいる者が悪者であるということに疑問など持ったことはなかった。ところが本書の著者は、「どうして権力は腐敗するのか?」と疑問を呈し、その答えの仮説をたてる。
4つの解答の候補が残った。
第1の候補は、権力を握ると人は悪質になる。〔…〕
第2の候補は、権力が腐敗するのではなく、より悪質な人が権力に引きつけられる。
〔…〕
第3の候補は、問題は権力を握っている人や権力を追い求める人にあるのではなく、私たちが不適当な理由から不適当なリーダーに引き寄せられ、そのため、彼らに権力を与える傾向にある。〔…〕
第4の候補は、すべては制度次第なので、権力の座にある人間に注目するのは間違っている。(P.24-5)
スタンフォード監獄実験の本当の結論は、上記「第1の候補」より「第2の候補」を補強しているように見えるし、現代の社会においてリーダーは、人々の支持がなければその座にはつけないということを考えると、どうも権力が人を悪人化するという単純な図式ではないらしい。
人間が狩猟採取生活から抜け出し、農耕牧畜を営みながら大集団として生き残ることを選んだ時から、その生き残る術として支配ー被支配の権力構造を生み出し、その副作用として「権力者=悪人」というのを甘受してきたというもっともらしい説明もある。
私の見てきた社長さんたちも、元々は正義感にあふれた人が悪人化した例もあり、元々悪賢い人がさらに悪人化した例もありで色々だったからなあ。
まあ、いずれにしても権力は腐敗する。そしてそれを防ぐ方法は、本書の後半で色々と紹介されているが、そう簡単ではあるまい。