さいたま市立中央図書館所蔵
2024/11/30 大宮図書館より借入
2024/12/08 読書開始
2024/12/11 読了
2024/12/14 大宮図書館へ返却
馬鹿は死ななきゃ(そして、死んでも)治らない、と言うが、ほんとうにどうしようもないクソみたいな政治体制、機構そして愚民の集合体だな。アメリカ合衆国というのは。
2021年1月の連邦議会議事堂乱入事件が記憶には新しく、また少し遡るが、1995年4月のオクラホマシティ連邦政府ビル爆破事件(死者168人負傷者800人以上)といった極右テロが異様だったのは、合衆国では支配階級側のはずの国内在住白人プロテスタント男性(しかも連邦軍従軍経験者)が連邦政府・連邦議会に対して抱いた激しい憎悪である。
だって本邦のネトウヨ諸君は、本邦在住外国人(なぜか白人を除く)を蛇蝎のように嫌うが政府・自民党にはゴロニャン状態で爆弾の一つも作らないからである。
まあ、それはさておいて、白人至上主義、キリスト教原理主義だけでは説明がつかない。なぜそこまで連邦政府を敵視するのか。「ポッセ・コミタトゥス」という概念がある。これは1970年代まで遡らなければならない。
文字どおりには「郡民の力」を意味するポッセ・コミタトゥスの教義は、連邦と州の所得税をなくし、連邦準備制度の合法性を否定し、連邦法が州や、とくに地方の司法権に優越することに異を唱えるため、郡のレベル以上のいかなる形の政府も拒絶した。
〔…〕ポッセ・コミタトゥスは仰々しい大衆主義的な表現で、自分たちが苦しみを背負わされているのはすべて、ユダヤ人、移民、ウォール街、福祉の不正利用、そして政府のせいだと非難した。(P.97-8)
そして、合衆国憲法修正第2条で保障されている人民の武装権(銃所有権)である。その存在を予定されている「民兵」だ。連邦政府は、この至高の権利を奪いに来る、だからやられる前にやり返すんだ、というわけである。「ターナー日記」なのである。
しかし、おまえらそんなに虐げられたん?黒人の前でそれ言えるんか?
そもそも、じゃあなんで合衆国である必要あるん?さっさと解散しろや。
しかし、過去四〇年の歴史的分析で明らかになったように、トランプの存在はアメリカで極右過激派が最近になって勢いを増したひとつの要因にすぎない。今日のアメリカを分断し二極化してきた背景は、長い時間をかけて形成された。これまでの章で論じてきたように、過去の状況がどのようにアメリカ政治を現在の分岐点まで導いたかを注意深く評価することなしに、加速主義とその今日のアメリカへの影響の拡大を理解することはできない。それぞれの不可欠な歯車の歯が適切な場所におさまったころには、おそらく二〇二一年一月六日につながった連鎖的な出来事を避けるには、もう遅すぎた。(P.291)
そう、もう遅すぎる。合衆国内には4億丁を超える銃器があると推定されている。
憎しみの燃料も積み上がっている。次期政権はトランプが担うが、トランプとて彼らに対する扱いを誤れば、暴乱を起こされ打倒されかねないのだ(だって連邦政府なんだもん)。
合衆国国境を高い壁で囲い込みたいのは、トランプや暴徒だけではないぞ。いやむしろ彼らが決して世界に迷惑をかけないよう、出てこれないよう高い高い壁で封じ込めて連邦政府を解体し、郡以上の統治体を許さないようにしたいのは私たちの方ではないのか。