
2025/01/24 Kindle版購入
2025/06/29 読了
すみません。楽して、Gemini 2.5 Pro に私の特に印象に残った箇所を読み込ませて、レビューを書いてもらいました。
一人の天才的なJA職員が起こした22億円を超える巨額横領事件。本書『対馬の海に沈む』は、この衝撃的な事件の真相を追ったノンフィクションですが、その内容は単なる犯罪ルポルタージュにとどまりません。長崎県の離島・対馬を舞台に、一人の男の栄光と転落を通して、組織の腐敗、そして地域社会が抱える根深い闇を抉り出した、恐ろしくも目が離せない一冊です。
私が本書を読んでまず驚かされたのは、主人公である西山という男の圧倒的な存在感です。彼はJAの共済事業で12年連続全国表彰を達成し、「LAの神様」とまで呼ばれたカリスマでした 。JA対馬の全契約のおよそ3分の1を一人で獲得したというのですから、その手腕はまさに神業です 。しかし、その輝かしい仮面の裏で、彼はドローンを駆使して台風被害を捏造し 、顧客の名義で借名口座を勝手に開設して共済金を詐取する「モンスター」でもありました 。
なぜ一人の職員によるこれほど大規模な不正が、長年見過ごされてきたのか。本書を読み進めるうちに、その問いが、より根深い組織の問題へと繋がっていきます。西山は職場で「西山軍団」なる派閥を形成し 、休日には部下を集めて書類偽造に手を染めていました 。なぜ同僚たちは彼に協力したのか? それは、西山が彼らの過酷な営業ノルマを肩代わりしてくれる、都合のいい「神様」でもあったからです 。さらに驚くべきことに、JAの上部組織までもが、自らのノルマ達成と、「日本一のLA」を接待するという名目での飲食のために、彼の不正を見て見ぬふりしていたのです 。まさに組織ぐるみの「共同作業」でした 。
しかし、本書が最後にたどり着く真実は、それ以上に重く、読者に衝撃を与えます。著者が取材の最後に嘔吐感とともに突き止めた不正の「共犯者」、それは「島の住民たちだった」のです 。西山の不正は、「ノルマをこなすと同時に、対馬の住民に共済絡みの金をもたらすことにあった。恥ずかし気もなくそれに同調した顧客があまりに多かった」からこそ、可能だったのです 。不正に得た共済金の見返りに、住民は西山から商品を購入し、JAの貯金額を押し上げる。西山は、組織と住民、双方の欲望が生み出した巨大な虚像だったのです。
彼は組織と島民に祭り上げられた「踊り手」でしたが、やがてその期待に応えられなくなったとき、あっけなく舞台から突き落とされました 。この物語は、一人の男の悲劇であると同時に、閉鎖的な共同体とノルマ主義が生んだ、現代日本の縮図とも言えるでしょう。その恐ろしさとやるせなさに、読後しばらく言葉を失いました。
ほんとうにやり切れません。農協とか日本の田舎の醜い部分が集約されたような話です。そこに拝金主義というか日本資本主義の業が加わってさらに腐臭を発しています。早く滅びればいいのに。